「犬が黄色い液体を吐いた」
「朝になると白い泡を吐いている」
「食後すぐに水だけを戻してしまう…」
こんな症状に不安を感じたことはありませんか？
犬はよく吐く動物といわれますが、その原因は空腹や早食いなどの軽いものから、下痢や血が混じるような重い病気までさまざまです。元気があるなら様子を見るべきか、頻繁に吐くならすぐに病院へ行くべきか、判断に迷うことも多いでしょう。
この記事では、犬が吐く原因や吐いたものの色別の見分け方や受診の目安、飼い主ができる対処法までをわかりやすく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
犬が吐く原因は主に2つ
犬が吐く理由は一つではありません。食べすぎや空腹などの軽いものから、消化器の病気や中毒のように注意が必要なケースまでさまざまです。ここでは、犬が嘔吐する主な原因を「一時的なもの」と「病気によるもの」に分けてわかりやすく解説します。
- 生理的・一時的な理由
- 病気が原因のケース
生理的・一時的な理由
犬が吐く1つ目の原因は、生理的または一時的な理由によるものです。
犬が吐く原因のなかには、病気ではない一時的なものも多くあります。たとえば、空腹時間が長くなると胃液や胆汁が逆流し、黄色い液体や白い泡を吐くことがあります。特に朝方に見られることが多く、この場合は食事の時間や回数を見直すことで改善することがあります。
また、食べすぎや早食い、運動直後の食事も嘔吐の原因になります。未消化のフードを吐いた場合は、食器を工夫して早食いを防止するとよいでしょう。これらの嘔吐は、吐いたあとも元気で食欲があれば、しばらく様子を見る対応で問題ありません。
ただし、頻繁に繰り返すようなら、何らかの体調不良が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
病気が原因のケース
犬が吐く2つ目の原因は、病気によるものです。
たとえば、胃腸炎や膵炎・腎不全・肝臓病・感染症（パルボウイルスなど）・異物誤飲・中毒（チョコレートやぶどうなど）、そして胃捻転などが挙げられます。これらの病気が原因の嘔吐では、吐いたあとに元気がなくなったり食欲が極端に落ちるといった症状が見られることが多く、下痢や発熱を伴うこともあります。
また、嘔吐物に血が混じっている場合や、短時間で何度も吐くような場合は特に注意が必要です。少しでも異常を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
吐いた内容でわかること
犬が吐いたときは、その内容物の色や状態を観察することで原因を推測する手がかりになります。
- たとえば、黄色い液体は胆汁であることが多く、空腹時間が長いときに見られます。
- 白い泡や透明な液体は、胃液や唾液が原因で、軽い胃の不調や空腹によることが多いです。
- 茶色や赤い液体には血が混ざっている可能性があり、消化器官からの出血など重篤な症状が疑われます。
また、未消化のフードを吐いた場合は、早食いや消化不良フードとの相性の問題が考えられます。異物や寄生虫が混ざっている場合は、誤飲や感染の可能性もあるため注意が必要です。
吐いたあとの犬の様子とあわせて、嘔吐物を観察することは、正確な判断や早期対応にとても役立ちます。
嘔吐と吐出の違いを知っておこう
ここでは、嘔吐と吐出の違いについて説明します。
- 吐出：食道から逆流
- 嘔吐：胃や腸の内容物を強く吐き出す
犬が吐いたように見えても、それが「吐出」なのか「嘔吐」なのかによって原因や対処法が異なります。実は重要な健康チェックのひとつですので、理解しておきましょう。
吐出：食道から逆流
吐出とは、犬の食道から未消化の食べ物や液体が逆流して出てくる現象です。
特徴的なのは、前ぶれもなく突然、勢いなく吐き出す点。吐き出されたものはほぼ噛まずに飲み込んだフードそのままの形をしており、よく見ると丸飲みしたような食べ物がそのまま出ていることが多いです。吐出は食道の異常や早食いが原因となることが多く、吐いた後も犬がけろっとしているケースもあります。
ただし、頻繁に起きる場合は食道拡張症や狭窄といった病気の可能性があるため、症状が続くようであれば獣医師に相談しましょう。
嘔吐：胃や腸の内容物を強く吐き出す
嘔吐は、胃や小腸の内容物を強い腹圧で外に吐き出す行為を指します。
吐く前には「えずき」や「よだれ」不安そうなそぶりが見られることが多く、食べ物以外に泡や液体、血液が混ざることもあります。嘔吐は一時的な体調不良で自然におさまることがほとんどです。ただし繰り返し起こる場合には、胃腸炎や感染症・中毒・内臓疾患など深刻な原因が隠れていることもあります。
吐いたものの色や内容、犬の全体的な様子をしっかり観察し、異変を感じたら早めの受診が必要です。
飼い主ができる応急対応
次に、犬が吐いた後飼い主ができる応急対応を2つ、紹介します。
- 吐いた直後は休ませよう
- 様子を見るべきか？すぐ受診か？の判断
吐いた直後は休ませよう
犬が吐いた直後は、無理に水や食事を与えず、胃腸を休ませる時間をつくることが大切です。
最低でも2〜3時間は何も与えず様子を見ましょう。また、嘔吐物を片づける前に、色や内容物の確認を行い、写真を撮っておくと診察時に役立ちます。どのくらいの量を吐いたか、何回吐いたか、吐いたときの時間などもメモしておくとよいでしょう。
犬が吐いたあとも元気であれば、一時的な原因の可能性がありますが、念のため慎重に経過を見守ってください。
様子を見るべきか？すぐ受診か？の判断
「吐いたけど元気がある」「一度だけの嘔吐」などの場合は、少し様子を見るという選択肢もあります。
ただし、以下の症状がある場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 2回以上繰り返して吐く
- 吐いたあとにぐったりしている
- 食欲がない
- 水を飲まない
- 血が混じっている
また、高齢犬や子犬の場合には体力の低下が早く進むため、軽い嘔吐でも慎重に判断すべきです。判断に迷うときは、写真やメモをもとに獣医師に電話で相談するだけでも安心材料になります。
吐かせないためにできる予防策
ここでは、飼い主が普段から意識できる予防策について、食事・健康管理・環境の3つの観点から紹介します。
- 食事の与え方を見直す
- 日頃の健康管理を徹底する
- ストレスを減らす生活環境をつくる
食事の与え方を見直す
1つ目は、食事の与え方を見直してみましょう。
犬の嘔吐には、食べ方や食事の内容が大きく関係しています。たとえば、早食いは未消化のままフードを吐く原因になります。早食い防止用の食器や、フードを分散して与える「ノーズワークマット」などを活用するとよいでしょう。
また、食事の間隔が長すぎると空腹による嘔吐（黄色い胆汁）を招くことがありますので、1日2〜3回に分けて与えるのが理想的です。食べすぎにも注意が必要です。
体重や年齢に応じた適切な量を守り、胃腸に負担をかけないようにしましょう。
日頃の健康管理を徹底する
2つ目は、日頃の健康管理を徹底することです。
嘔吐の背景には、病気や寄生虫、感染症が関係していることもあります。予防の第一歩は、定期的な健康診断とワクチン接種です。また、フィラリアやノミ・ダニなどの寄生虫対策も忘れず行いましょう。
さらに、体調の変化に気づけるように毎日の便の状態や食欲、元気の有無などを観察する習慣をつけておくことも大切です。いつもと違う様子があれば、早めに相談することで重症化を防ぐことができます。
健康管理は、嘔吐の予防だけでなく愛犬の長寿にもつながります。
ストレスを減らす生活環境をつくる
3つ目は、ストレスを減らす生活環境をつくることです。
犬はストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、嘔吐や下痢などの体調不良を起こすことがあります。騒音や来客の多い環境、飼い主の不在時間が長いことなどがストレスの要因になることも。安心して過ごせる静かなスペースを確保したり、留守番時間が長い場合には帰宅後に十分なスキンシップや散歩の時間をとるなど、心のケアを意識することが大切です。
また、日常的に軽い運動や遊びを取り入れることでストレス発散になり、健康的な生活リズムが整います。
まとめ
犬が吐くのはよくある行動のひとつですが、その原因には軽いものから命に関わる重大な病気まで幅広く存在します。まずは嘔吐物の色や状態や吐いた回数、犬の元気や食欲の有無を冷静に観察することが大切です。軽度な嘔吐で元気がある場合は様子見で問題ありませんが、繰り返す嘔吐やぐったりしている血が混ざっているといった異常が見られるときは、早めに動物病院を受診しましょう。
また、以下のような日常的な予防策によって、嘔吐のリスクを減らすことができます。
- 食事の工夫
- 健康管理の徹底
- ストレスの軽減
飼い主として適切な知識と対応力を身につけておくことで、愛犬の健康と安心を守ることができるはずです。万が一に備えて、嘔吐の記録や写真を残しておくと、診察時にも大きな助けになります。
焦らず冷静に、愛犬の様子をしっかり見守りましょう。