
「また、愛犬が自分のうんちを食べてる…」
「今まではこんなことなかったのに、どうして?」
「何かの病気じゃないかと心配…」
愛犬の食糞行動にとまどい、不安を感じている飼い主さんは少なくありません。我が家も同じ経験をしています。
食糞は犬にとって決して珍しい行動ではありませんが、放っておくと習慣化してしまうこともあります。原因を正しく理解し、早めに対策をとることが大切です。
この記事では、犬がうんちを食べる理由を年齢別・行動別にわかりやすく解説します。予防やしつけの方法、受診の目安も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
犬がうんちを食べる原因を6選(年齢別・行動別に解説)
犬がうんちを食べる理由は、成長段階や生活環境によってさまざまです。
ここでは、犬の年齢や行動に注目しながら、代表的な原因を6つにまとめて紹介します。
- 子犬は好奇心と未発達な消化で食糞しやすい
- 成犬では習慣や環境の変化が原因になる
- 老犬は消化不良や認知機能の低下が影響する
- 飼い主の反応が強すぎることで習慣化する
- ストレスや孤独感による行動も多い
- 犬の習性や母犬の本能行動も一因
子犬は好奇心と未発達な消化で食糞しやすい
犬がうんちを食べてしまう原因の1つ目は、子犬時期の好奇心や未発達な消化によるものです。
生後まもない時期の犬は、身の回りのものすべてに興味を持ちます。そのため、うんちも「においのする不思議なもの」として触れようとします。
また、消化器官が未発達で、排泄物に食べ物の匂いや栄養分が残っていることも少なくありません。我が家の場合、子犬時期にはペットショップの勧めで恰好性の高いフードを使用していましたが、うんちにも美味しそうな匂いが残っていた経験があります。こうした状況が重なると、「うんち=食べられるもの」と認識してしまうのです。
この行動は成長とともに自然と減ることもありますが、見逃さず早めに対処してあげるほうが安心です。
成犬では習慣や環境の変化が原因になる
犬がうんちを食べてしまう原因の2つ目は、成犬時期の習慣や環境変化によるものです。
成犬が食糞する場合、習慣化や環境のストレスが原因となっていることが多いです。たとえば、子犬期に覚えた食糞行動がそのまま定着しているケース。また、引っ越しや家族構成の変化、生活リズムの乱れなどで強いストレスを感じたときにも見られます。
ストレスが溜まると犬は普段と異なる行動をとりやすくなり、飼い主の注意を引こうとして排泄物を食べることがあります。
成犬の場合、すぐに習慣を変えるのは難しいかもしれません。しかし、日常生活の安定と十分な運動によるストレス発散で改善できることも多いので、焦らず見守ってあげてください。
老犬は消化不良や認知機能の低下が影響する
犬がうんちを食べてしまう原因の3つ目は、老犬時期の消化不良や認知機能低下によるものです。
高齢犬の食糞は、体の機能低下が背景にあることが少なくありません。老犬になると、消化吸収機能が衰えて未消化の成分が排泄物に含まれることがあります。その結果、うんちから食べ物のような匂いがして、再び食べてしまうのです。
また、認知機能の低下によって、自分の行動をうまくコントロールできなくなることも原因のひとつです。
こうした場合は、フードの見直しや動物病院での相談が必要になることもあります。日々の様子を観察し、気になる変化があれば早めに対処してみてください。
飼い主の反応が強すぎることで習慣化する
犬がうんちを食べてしまう原因の4つ目は、飼い主の反応によるものです。
犬は飼い主の反応をよく観察しており、過剰なリアクションがかえって逆効果になることもあります。
排泄中や直後にうんちを食べた犬に対して、「いやー!やめてー!」と驚いたり怒鳴ったりしていませんか?この反応に対して犬は、「これは注目される行動なんだ」と学習してしまいます。
特に一人遊びが多い犬や、飼い主と触れ合う時間が短い犬は、構ってほしい一心で問題行動を繰り返すことがあります。このようなときは冷静に対応し、排便後はすぐに片付け、良い行動をしたときにしっかり褒めることが大切です。
ストレスや孤独感による行動も多い
犬がうんちを食べてしまう原因の5つ目は、ストレスや孤独感によるものです。
犬がうんちを食べるのは、精神的なストレスや孤独感のサインであることもあります。長時間の留守番や散歩不足、生活環境の変化などが原因で、犬は不安や退屈を感じます。その結果、自己刺激行動の一つとして食糞に及ぶことがあるのです。我が家でも悪天候が続いて散歩ができない日が続いた時、食糞に至らずとも、うんちを投げ散らかすことがあります。
この場合は、日々のストレスを減らす工夫や、愛犬とのコミュニケーション時間を増やすことが有効です。おもちゃや知育グッズを取り入れて、退屈しない環境を整えてあげるのもひとつの手段ではないでしょうか。
犬の習性や母犬の本能行動も一因
犬がうんちを食べてしまう原因の6つ目は、犬の習性や母犬の本能行動によるものです。
食糞行動には、犬の祖先から引き継がれた本能も関係しています。野生時代の犬は、敵に居場所を知られないよう排泄物を隠す必要があり、その一環として食糞することがありました。また、母犬が子犬の排泄物を食べるのは、巣を清潔に保ち、子どもを守るための行動です。
こうした本能が現代の家庭犬にも残っており、特に出産後の母犬には見られる傾向です。
本能的な行動は完全に消すことは難しいですが、環境を整えれば自然と減っていくこともあるため、あまり神経質にならず様子を見てみましょう。
食糞を防ぐために飼い主ができる具体的対策5つ
それでは、食糞を防ぐために飼い主ができることには、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、飼い主ができる具体的な対策を、5つに厳選して解説します。
- すぐにうんちを片付ける習慣をつける
- 栄養バランスを見直し、消化の良いフードを選ぶ
- 食糞防止用のサプリやスプレーを使ってみる
- おやつや遊びで排便後の行動を切り替える
- トレーナーや獣医に早期相談する選択も
すぐにうんちを片付ける習慣をつける
食糞を防ぐための1つ目の対策は、すぐにうんちを片付けることです。
犬が排便した直後に目を離してしまうと、好奇心や習慣からうんちに近づいてしまう可能性があります。そのため、散歩中や室内での排泄時には飼い主がすぐに処理できるようにしておくことが重要です。日常のルーティーンとして「排便=即回収」を徹底することで、犬がうんちに触れる機会を物理的に減らすことができます。
ささいなことに思えるかもしれませんが、継続することで大きな効果が期待できますので、ぜひ意識してみてください。
栄養バランスを見直し、消化の良いフードを選ぶ
食糞を防ぐための2つ目の対策は、栄養バランスを見直し消化の良いフードを選ぶことです。
食糞の背景には、栄養の偏りや消化不良が隠れていることがあります。特に安価なフードや添加物の多いものでは、栄養が十分に吸収されず、便に残る成分が多くなる傾向があります。すると、犬が「まだ食べられるもの」として反応してしまうのです。
このような事態を防ぐためには、消化吸収に優れた高品質のフードを選ぶことが効果的です。加えて、獣医師に相談して食事内容を見直すのも良いでしょう。我が家の場合、ドッグトレーナーさんから「食糞率の低い」フードを勧めていただいたこともあります。
体の内側から改善を図ることが、長期的な予防につながります。
食糞防止用のサプリやスプレーを使ってみる
食糞を防ぐための3つ目の対策は、食糞防止用のサプリやスプレーを試してみることです。
市販されている食糞防止アイテムを活用するのも一つの手です。たとえば、便の味をまずくするサプリメントや、排泄物にかけて苦味を与える専用スプレーなどがあります。
これらは犬に「これは食べてはいけないものだ」と認識させる手助けをしてくれるものです。ただし、効果には個体差があるため、すぐに改善されないこともあります。また、何度も使っていると「慣れ」によって再発する場合もあります。その場合は複数の方法を併用するなど、根気よく取り組むことが大切です。
手軽に試せる方法のひとつとして、まずは使ってみるのも良いのではないでしょうか。
おやつや遊びで排便後の行動を切り替える
食糞を防ぐための4つ目の対策は、おやつや遊びで排便後の行動を切り替えることです。
排便後の行動をうまく切り替えることで、うんちに興味を持たせないようにする方法です。たとえば、排便が終わったらすぐに「おすわり」や「おいで」などの指示を出し、ごほうびとしておやつを与えるなどの方法があります。
犬は「排便のあとは良いことがある」と覚えることで、自然とうんちへの興味が薄れていきます。
また、遊びや散歩を再開して注意をそらすのも効果的です。ポジティブな行動に誘導することで、無理なく習慣を変えることができるのではないでしょうか。
トレーナーや獣医に早期相談する選択も
食糞を防ぐための5つ目の対策は、トレーナーや獣医に早期相談することです。
自宅での対応だけでは改善が難しい場合、専門家に相談するのも重要な対策です。行動療法に詳しいドッグトレーナーや、内臓疾患の可能性を見極められる獣医師に早めに相談することで、問題の原因を正確に把握できます。特に長期化している食糞や、繰り返しの症状がある場合は、専門的な視点が必要になります。
「まだ大丈夫」と思い込まず、早めに行動を起こすことが、愛犬の健康を守る第一歩になるはずです。
飼い主の対応で「食糞の習慣化」を防ぐコツ
犬の食糞は、飼い主の対応によって悪化も改善もします。
ここでは、日常の接し方やしつけの工夫を通じて食糞の習慣化を防ぐためのポイントを、2つにまとめて紹介します。
- 怒鳴らずに冷静な対応を心がける
- 排泄の場所や時間をコントロールする工夫
怒鳴らずに冷静な対応を心がける
飼い主の対応で食糞の習慣化を防ぐための1つ目のコツは、怒鳴らずに冷静な対応を心がけることです。
犬がうんちを食べてしまったとき、思わず大声で叱ってしまう気持ちは理解できます。ビックリしますもんね。
しかし、強い口調やリアクションは逆効果になることもあります。犬は「注目された」と勘違いしまい、かえってその行動を繰り返すようになる可能性があるのです。
叱る代わりに、冷静にその場からうんちを取り除き、犬には何も反応しないのが効果的です。問題行動を強化しないためには、感情的にならず落ち着いた態度を意識しましょう。「見てないふり」も、しつけとして有効です。
排泄の場所や時間をコントロールする工夫
飼い主の対応で食糞の習慣化を防ぐための2つ目のコツは、排泄の場所や時間をコントロールすることです。
犬の排便環境を工夫することが、食糞のリスクを下げることに繋がります。たとえば、排泄スペースをケージやサークル内に設置し、便をしたらすぐ飼い主が片付けられるようにするとよいでしょう。排泄後にうんちに触らせない工夫は大切なのです。
また、排泄時間がある程度決まっている犬であれば、飼い主がそばにいられる時間帯に調整するのも有効です。一人で排泄させずに必ず見守る習慣をつけることで、行動をコントロールしやすくなります。環境面から見直すことで、飼い主の負担も軽減されるのではないでしょうか。
食糞が改善しないときの相談先と受診の目安
食糞行動はしつけや環境の見直しで改善することが多いですが、中には家庭だけでの対処が難しいケースもあります。ここでは、専門機関に相談すべきタイミングと、受診時に確認すべきポイントを3つにまとめて解説します。
- 受診すべきタイミングの見極め
- 動物病院での診断方法と治療
- 問題行動を改善するために専門トレーナーを頼る
受診すべきタイミングの見極め
1つ目は、受診すべきタイミングの見極めについてです。
「しつけを続けても改善しない」「急に食糞を始めた」「体重が減ってきた」などの変化が見られたら、早めに動物病院を受診するべきです。特に、便の状態に異常があったり食欲や元気に波がある場合は、病気の可能性も考えられます。
見逃すと悪化してしまうこともあるため、「様子を見る」よりも一度専門家に診てもらう方が安心です。食糞は体の中からのサインの場合もあるため、慎重な判断が必要が必要とされます。
動物病院での診断方法と治療
2つ目は、動物病院での診断方法と治療です。
動物病院では、問診で日常生活の様子を詳しく聞かれます。その後、糞便検査や血液検査などを行い、内臓疾患・寄生虫感染・ホルモン異常の有無を調べます。
病気が見つかった場合は、内服薬や食事療法によって治療を行います。症状によっては、しばらく通院が必要になることもありますが、早期発見・治療で改善が期待できます。
病気が見つからなかったとしても、それはそれで安心できますよね。まずは病気の可能性を除くことも大切な対応です。
問題行動を改善するために専門トレーナーを頼る方法
3つ目は、問題行動を改善するために専門トレーナーを頼る方法です。
病気の可能性がない場合には、行動面を改善するためのトレーニングを考えましょう。ドッグトレーナーや動物行動学の専門家は、犬の性格や家庭環境に応じたアプローチを提案してくれます。具体的なトレーニング方法や接し方を教えてもらうことで、飼い主自身も冷静に対応できるようになります。
「自分では限界」と感じたときは、無理せずプロの手を借りるのも選択肢です。愛犬とより良い関係を築くためにも、外部のサポートをうまく活用してみてください。
まとめ

犬の食糞には、年齢や環境、体調などさまざまな原因が関係しています。しつけや生活習慣の見直しで改善できるケースも多く、早めの対処が習慣化を防ぐカギです。
一方で、病気が隠れている可能性もあるため、気になる変化があれば獣医師や専門家に相談することが大切です。
食糞は、飼い主にとってもストレスであり、愛犬にとっても良い習慣ではありません。愛犬の健康と安心のために、原因を正しく理解し、根気よく対応していきましょう。